アメリカで公共放送機構が解散。影響は?(1月7日記)


 1月5日、アメリカで公共放送機構(以下、CPB)が理事会で組織解散を正式に議決したということを米メディアが伝えたと共同通信が伝えた。https://news.yahoo.co.jp/articles/98ca7d9e0aeea30cd0423f7124db312d6df1612fCPBのウェブサイトhttps://cpb.org/pressroomにも掲載されている。

すでに去年の夏にトランプ大統領が連邦資金提供の打ち切りの法案に署名していたため、この流れは必然の流れであった。


 このニュースをどうとらえればいいのか。アメリカの公共放送は日本とは全く異なる状況にあるので概略を整理しておきたい。アメリカには、日本のNHKのような1つの巨大組織の公共放送はない。公共放送と呼ばれるものは、全米にある非商業放送局による緩やかな連合体で、テレビ(PBS)は300以上、ラジオ(NPR)は1000局以上のメンバー局によって形成されている。収入の構造も日本のような受信料ではなく、多様な財源によって成り立つ。今回、組織解散が報じられたCPBからの収入は「連邦政府交付金」とよばれ、多様な財源のうちの1つである。CPBのウェブサイトによると、最新のデータ(2023年)https://cpb.org/sites/default/files/Annual%20Revenue%20Report%202023.pdfでは、公共放送の財源に占める連邦政府交付金の割合は12.9%となっている。ちなみに、最も割合が高いのは個人寄付金であり、35.4%を占めている。


 そもそもこの交付金は、トランプ政権以前も、政権の意向によって大きく左右されるものであり、特に共和党政権下では、絶えず削減の揺さぶりがかけられてきたhttps://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2013_07/20130705.pdf。公共放送では、交付金に依存しすぎない財政構造を図ろうと、2005年には全体の16.3%だったが、2023年時点では12.9%まで依存度を下げている。


 そのため、CPB解散=アメリカの公共放送がなくなる、というわけではない。ただ、この12.9%というデータは全米全体のデータであり、個人の寄付や大学、地元自治体の寄付になかなか頼れないような財政的に困難な地域を拠点とする局や小規模な局については、連邦政府交付金の依存度が高いことも事実であり、こうした局については、かなり運営が厳しくなることは目に見えている。アメリカでは、地方紙を中心とした地域のジャーナリズムの担い手が次々と失われる、いわゆる「ニュース砂漠」が進行しており、PBS及びNRPは、非営利局として砂漠化を食い止める担い手として機能してきたため、特に地域にとって影響はさけられないだろう。引き続き注視していきたい。