民放オンライン連載⑧「福島県の浜通り地域を”日本のハリウッド”に~「FFFアワード」の挑戦~」掲載しました。


 今回、取り上げたのは「Fukushima Film Frontier Award」、通称「FFFアワード」という取り組みです。これは、原発事故で大きな被害を受けた福島県の”浜通りで撮りたい映画”をテーマに、ジャンル不問で映画の”企画案”を募集するというものです(図1 FFFアワードウェブサイトより)。

(図1)

 仕掛け人は福島県のローカル局、福島中央テレビ(以下、FCT)。「”悲劇の地”であった福島県浜通りが、誰もが憧れる”映像・芸術文化の地”となり、いつの日か、日本のハリウッドになってほしい。」という大きな夢を掲げた企画意図に強い関心を持ち、詳細を伺ってきました。

https://minpo.online/article/fff.html

 この取り組みの最大の特徴は、製作委員会方式での映画製作や、現地にロケを誘致するフィルムコミッションにとどまらないことです。津波と原発事故で大きな被害を受け、今もなお、地域に住民が戻ってこない福島の浜通り地域に対して、長期的な視点で持続可能なまちづくりとは何か、住民の誇りを取り戻していくためには何が必要かについて、福島県のメディアとして当事者としてできることを考えています(図2 ※資料はFCT提供のコンセプトシートから)。1社の取り組みにせず、浜通り地域でフィルムコミッション活動を行う団体や他のローカル局や地域の新聞社にも声をかけて協賛にしています。

(図2)

 グランプリを受賞した企画案は、平田雄己監督らが提案した「サマー・サークル~夏の終わりに描く声~」である。1921年から1982年まで南相馬市に実際にあった「原町無線塔[i]」から着想した青春SF映画である。中学生3人が、かつて街にあった巨大な電波塔が宇宙と交信していたという噂を聞いて、その正体を探り始めるという内容だそうだ[ii](図3 FCT「中テレNEWS」より)。

 原発事故も東日本大震災もテーマにしていない企画案がグランプリを受賞したことが興味深い。被災地というレッテルが貼られていない浜通り地域が舞台となったということは、「“悲劇の地”であった福島県浜通りが、誰もが憧れる“映像・芸術文化の地”となり、いつの日か、日本のハリウッドになってほしい。」というFFFアワードの企画意図に相応しい第一歩なのかもしれないと感じた。

 撮影は夏、映画は今年中に完成の予定だ。どんな映画になるのか、楽しみにしたい。

[i] 「原町無線塔」デビューからちょうど100年(令和3年7月1日)/南相馬市公式ウェブサイト -Minamisoma City-

[ii] https://open.spotify.com/episode/4HfCBikGJ5xTmvaEGweayE