NHKを辞めたのだからもっと自由に発信してもいいのではないか、と言われることもあります。もちろん、これからはそうした言論活動も増やしていきたいと思っていますが、NHKに在籍中から約10年間行ってきた放送政策議論のウオッチ&発信も、可能な限り継続していきたいと考えています。なぜなら、国の免許事業であり、放送法上で役割や行動を規律されている放送やNHKの未来には、総務省の検討会の議論が大きな影響力を持っているからです。議論には課題も少なくないですし、そもそも議題に上がらない論点こそが重要だと感じることもありますが、何が論じられているのかを踏まえなければ、それを補う議論や、乗り越える議論はできないというのが私のスタンスです。
放送=オールドメディア、テレビ=マスゴミといった感覚や受け止めをしている市民にも広く関心を持ってもらえるよう、政策議論はできるだけ社会に開いていかなければならないと思っています。そのためにも、まずは放送やメディア業界に関わる人たち、関心を持つ人たちに向けて発信を続けていきます。
今回の論考は、4月25日、約4か月ぶりに開催された「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」親会に関する内容です。