NHKに所属していた時には、個人の立場で提出できなかったパブリックコメントですが、これからは、自分の関心領域の取りまとめ案に対しては積極的に提出していこうと思っています。
今回は、総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の「広域大規模災害を想定した放送サービスの維持・確保方策の充実・強化検討チーム」の取りまとめ案に対するパブコメを提出しました。

このチームでは、南海トラフ地震のような広域大規模災害が起きた時、地上放送の受信が困難になることが想定されるとした上で、その代替策が検討されました。検討された代替策は、衛星放送、ネット配信、臨時災害放送局の3つでしたが、そのうち私は、自身のライフワークである臨時災害放送局に絞り、以下の3点書きました。
①能登半島地震では、北陸総合通信局と、協定を締結しているJCBA北陸地区協議会メンバーが被災自治体を訪れ、臨災局に関する説明を行い、開設意思の有無の確認を行った。いずれの自治体も、臨災局制度に関する認識がほとんどなく、開設に至ることはなかった。甚大な被害で混乱の最中にある自治体が、ラジオ局を開設する判断を即座に下すことは難しい。現在、各総通には臨災局のための機材が2セット準備されている。各総通は、(地上放送の受信が困難になるなど)臨
災局が必要と思われる自治体については、総通や現地にリエゾン入りした総務省
職員が、JCBAなどと協力の上で実験試験局を開設し、一定期間(数日程度)、必
要な行政情報などを伝達するということは考えられないか。一定期間の後、実験
試験局の実績や運営などを自治体に見てもらった上で、臨災局開設の有無を判断
してもらうという、より積極的なPUSH型支援の検討を求めたい。
②構成員である石川県の担当者は、能登半島地震で臨災局が開設されなかった理
由として、運営のための財政的支援がないことをあげていた。筆者のヒアリング
でも、輪島市も同様の意見を持っていた。また、総務省との間で臨災局の開設支
援協力協定を締結しているJCBAも、プレゼンで支援活動に必要な費用の財政補填を要望していた。各総通には臨災局の機材は準備されているが、実際にそれを運用するため費用を確保する見通しが立たなければ、自治体はなかなか開設の判断には踏み切れないのではないか。今回の取りまとめ(案)ではこの点についての言及はなかったが、たとえば、自治体に対する特別交付税による災害応援の仕組みの中に、「情報伝達(臨時災害放送局の運用)」という項目を立てることで、
自治体への周知を図るとともに、運用のための費用にあてるという道筋を作るこ
とはできないだろうか。
③臨時災害放送局の開設に必要な無線従事者資格の緩和については大いに賛同す
る。更に、臨災局設備を予め準備している自治体においては、速やかな開設のた
め、道路閉鎖などで無線従事者が現地に到着できない場合にも、衛星ブロードバ
ンドや衛星電話などを用いて、従事者がリモートで遠隔から、現地への対応を行
うことを以て開設を認める要件とするという緩和策はとれないか。
取りまとめ案に対しては、被災や復旧の現場の実態から考えると、議論しつくされていないと感じることや、踏み込みが足りないと思う点も多々ありましたが、できるだけ、建設的な意見を書くよう努めました。臨時災害放送局を地上放送の代替と位置付けるのであれば、速やかな開設、円滑な運用のために、更に踏み込んだ制度整備が必要だと考えています。
